2014年03月10日

全米に広がるPLAYWORKSとは?



「アメリカの子供たちを、もっと遊ばせよう!」
こんな掛け声のもと、学校の休み時間に子供たちをもっと遊ばせようという運動”PLAYWORKS(プレイワークス)"がアメリカ全土に広がっています。
アメリカという社会は、「世界で最も裕福で先進的な教育」と「世界で最も格差があり問題を多く抱えた教育」という二つの面を持つ社会です。
アメリカの私立学校が世界の学校ランキングの上位を独占している一方で、都市部で低所得者が多く住むエリアにある公立学校では、貧しい家庭の子供たちのために朝食をサービスしなければなりません。
日本と違い公立といえども各学校が独立採算で経営されているために、貧困層の多い地域の学校では教科書さえも生徒全員の分を揃えられないこともあります。(アメリカの教科書はレンタルが多いのですが、それでも揃えられない学校が多くあります)
そんな低所得者層エリアの幼稚園や公立小中校では、常に慢性的な予算不足なので、そのシワ寄せは当然子供たちへ向けられます。

日本の学校とアメリカの学校には多くの異なる点がありますが、特にビックリするのが「休み時間の少なさ」です。
日本でもアメリカでも授業と授業の間には5分くらいの「休み時間」があるのですが、日本の場合、教室間の移動は音楽や図工など特別な授業以外ではありません。
しかし、アメリカの場合、教科ごとに教室を移動しなければいけないので、この5分間は大忙しです。
日本ではトイレは休み時間に行くものですが、アメリカでは授業中に行くことが多くなります。
そして昼休みはもっと深刻です。
日本の学校では、教室で給食を皆が一斉に食べて、そのあと昼休みを取ります。
たくさん遊んで、学校によっては掃除もして、午後の授業へ向けてリフレッシュすることができます。
一方アメリカでは教室でなくカフェテリアで給食を食べます。
経済的に苦しい学校はカフェテリアも狭く、給食担当の人手も足りません。
よって、10時半から30分ずつ、学年ごとに順番に食べているところも多くあります。
ただでさえ時間割がタイトな上に(アメリカの学校は日本より休日数が多いので、その分一日のスケジュールはハードになりがちです)、これでは昼休みをしっかり確保することは難しいでしょう。
この学校の現状が、幼い子供にとっては、とてもストレスの多い環境になってしまっています。
子供は過密スケジュールで過度のストレスにさらされ運動不足になると、精神的にも不安定になってしまいます。
結果、少ない昼休み時間にそれが爆発。
先生の見ていない昼休みに暴力やいじめが始まり、それが教室まで持ち込まれてしまいます。
数年前までは、都市部の貧困地域の公立校の多くは、まさに崩壊寸前の状態でした。


そんなアメリカの公教育を「子供をもっと遊ばせる」ことによって蘇らせようとスタートしたのが、PLAYWORKSです。





Jill Vialet氏により1996年に始められたPLAYWORKS(設立当時はSports4Kidsという名前でした)は、トレーニングされたインストラクターを経済的に苦しい学校に派遣して、子供たちを”効果的”に遊ばせるための運動です。
とある校長がJillに、昼休みの子供たちの”カオス状態”を愚痴ったことから始まったといいます。
あまりにも昼休みの子供たちの”監視”が大変で、先生たちは午後の授業の前に疲れ果てている、というのです。
そこでJillは思いました。
「インストラクターと一緒に子供たちをたくさん遊ばせリフレッシュさせてあげて、先生も休ませてあげよう」
最初はスポーツ中心のプログラムを提供しました。
昔と違い、幅広い年齢で一緒に遊ぶことが少なくなった現代の子供たちは、放っておくと同じ年、同じ人種、同じ階層ごとに集まってしまう傾向があります。
これがこれまで人種間の偏見やいじめにつながっていました。
しかし、訓練されたインストラクターがうまく幅広い背景を持つ子供たちを一緒に遊ばせるようになると、子供たちに変化が表れてきました。
インストラクターの手法は単純です。
「できるだけ少ないルールでシンプルに遊ぶ」
「子供も大人も同じルールに従う」
「声かけ・ハイファイブ(ハイタッチ)」
これだけで子供たちは真剣に休み時間を遊ぶようになり、午後の授業での集中力も上がり、学校全体の成績も上がってきたのです。
先生たちのストレスも軽減し、より授業に専念することができるようになりました。

さらに興味深いことに、この効果はスポーツに限らず、ちょっとした遊びでも得られることが分かってきたのです。
日本で言ったら、ケンケンパーやあやとり、じゃんけん遊びのような素朴で昔からの伝統的な遊びのようなものでも、子供たちが集中して楽しく遊ぶことにより、スポーツと同じような効果が得られました。
Sports4Kidsという名前をPLAYWORKSに変えたのは、こういう経緯があったわけです。

今ではPLAYWORKSのウェブサイト上やYouTubeで、忘れかけられていた多くの伝統的な遊びや新しく生み出された遊びなどの映像を見ることができます。
州ごとの話題のインストラクターやルーキー・オブ・ザ・イヤーなんかも選出され紹介されていて、彼らの経歴やインタビューを見ると、とても熱意と才能をもった人たちがこのPLAYWORKSという運動に関わっていることが伺えます。
問題も多いアメリカの公教育事情ですが、自分たちの手で出来ることを何でもやってみて、なおかつそれをちょっとしたお祭り騒ぎに盛り上げてしまおうというところは、アメリカの良い一面でもあると言えるでしょう。




posted by 岡昌之 at 21:10| Comment(0) | 世界のNPO | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年06月12日

さまよえる”ゴミを拾う”オランダ人

飛行機で海の上を飛んでいる時に、僕は海をずっと眺めていることがあります。

小さな島々が見えると嬉しくて、それがどの島か地図で探してみるのもいいですし、広大な洋上に浮かぶタンカーなども見えたりします。

あと、どこの島からも果てしなく遠い海の上に小さな光がたくさんチラチラ見えることもあって、「ああ、こんなところにまで漁船団は来てるのか」なんて思ったりもします。

でも、あの光は漁船ではなかったのかもしれません。

もしかしたら、洋上に漂う膨大なゴミが太陽の光を反射していただけなんじゃ・・・?



現在確認されているだけでも、世界にはいくつかの”洋上のゴミスポット”があります。

東北の津波で流された多くのガレキやゴミが太平洋上を漂流したことで、日本でもこの問題は意識されるようになりました。

私たちの目には映らないけれど、世界の海には凄まじい量のゴミが漂っています。

生態系にも深刻な影響が出始めていますが、私たちは直接目にしたり自分に影響することでないと、なかなか問題意識を持って行動に移そうとはしません。

周囲を海に囲まれた”海洋国家”であるはずの日本で、この問題がポピュラーになることがないのは、とても残念なことかもしれません。

しかし、ついに一人の19歳の若者が立ち上がりました。

オランダの大学生Boyan Slat君です。

彼に賛同した世界中の人たちにより支援の輪が広がり、このThe Ocean Cleanupはスケールの大きいプロジェクトになったのです。





さすが、かつては世界を股にかけた海洋国家オランダの若者。

フライング・ダッチマンの国だけあります。

21世紀の、さまよえる”ゴミを回収する”オランダ人は、一人ぼっちではありません。



タグ:環境問題 NPO
posted by 岡昌之 at 14:01| Comment(1) | 世界のNPO | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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