2014年03月18日

FOREVER YOUNG REVISITED

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息子が去年のクリスマスチャリティコンサートで歌ったALPHAVILLEものとは違う、BOB DYLAN作の曲を元にして作られた絵本「FOREVER YOUNG」。

絵はポール・ロジャース氏です。(最初はビックリしましたが、あの歌手のPaul Rodgersとは綴りが違いますね)

この曲は、ボブ・ディランに息子ジェイコブ君が生まれた際に、彼に捧げられました。

こちらはそのボブ・ディラン版フォーエバー・ヤングをスティーブ・ジョブズ追悼コンサートで歌うノラ・ジョーンズ。泣けます。

 



 

「FOREVER YOUNG」 by BOB DYLAN


May God bless and keep you always

May your wishes all come true

May you always do for others

And let others do for you

May you build a ladder to the stars

And climb on every rung

May you stay forever young

Forever young, forever young

May you stay forever young

 

May you grow up to be righteous

May you grow up to be true

May you always know the truth

And see the lights surrounding you

May you always be courageous

Stand upright and be strong

May you stay forever young

Forever young, forever young

May you stay forever young

 

May your hands always be busy

May your feet always be swift

May you have a strong foundation

When the winds of changes shift

May your heart always be joyful

May your song always be sung

May you stay forever young

Forever young, forever young

May you stay forever young

絵本の日本語翻訳版ではアーサー・ビナードさんが「FOREVER YOUNG」を「はじまりの日」と訳していますが、僕も和訳にチャレンジしました。

 

あなたがいつも祝福され いつも誰かに見守られ

願いもたくさん叶いますように

いつも誰かのために行動し あなたも皆からそうされますように

天まで届く長い梯子を 一段一段登っていけますように

いつまでも若々しく いつまでもみずみずしく

あなたがいつまでも 今のあなたのままで いられますように

 

いつも清らかなる心をもち 誠実に育ちますように

いつも真実の光が あなたを包んでいますように

いつも力強く立ち上がって 勇気ある行動ができますように

いつまでも新鮮で いつまでも生まれたままで

あなたがいつまでも 今のあなたのままで いられますように

 

あなたがいつも誰かに必要とされ いつも走り続けられますように

世間に流されない 強く固い信念が持てますように

あなたの心がいつも喜びにあふれ 称えられ、歓喜の歌が鳴り響きますように

永遠にこのままで 永遠に消えることなく

あなたが永遠に 今のあなたのままで いられますように

 

子を持つ親なら誰しも思う我が子への想いを、シンプルに美しく表した詩です。
僕も息子が生まれたばかりの頃を思い出すと、その後の大変なことや辛いことも忘れてしまします。
子育てって、”その記憶”がないとやっていられないものかもしれません・・・ 
とにかく、子供に対してFOREVER YOUNGと願いながらも、自分も常にFOREVER YOUNGでいなければいけませんね。

今日もみずみずしく!

 

さてボブ・ディランはこの歌について、こう述べています。

「この歌は私の子供たちのうちの一人(ジェイコブ君)のことを考えながら作ったんだ。あまりセンチメンタルにしすぎないようにね。詩はすぐに思い浮かんだよ、たった数分でね。特に気合を入れて詩を作ったわけじゃないんだ。そう、何か別のことをやろうとしていた時だったかな。時々そんな感じで歌ができるんだ。」

羨ましい・・・

 








posted by 岡昌之 at 13:13| Comment(0) | エンタメ・アート・サイエンス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年04月25日

人前に出ることを恥ずかしがらない子供にするには?

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 僕の息子たいかん(2009年生まれ)は人前で何かを披露することが大好きです。家でもベッドをステージにいつもワンマンショーを開催。観客はもちろん僕。まずは場内の注意アナウンスから始まって、司会者が登場。そして歌にダンスやお芝居が続きます。外出先でもステージやそれっぽいものがあると、たいかんワンマンショーの始まりです。なぜこんな性格になったかというと、やはり赤ん坊の頃からショーをたくさん観たからでしょう。

 1歳くらいの頃は、よくipadでYouTubeの映像を見ていました。特にセサミストリートが大好きで、大物ミュージシャンやミュージカル俳優がゲスト出演しているものを検索しては毎日息子に見せてあげていました。もちろん本物のショーもたくさん観に行きました。息子は本当にショーが大好きで、ディズニーランドに出かけても乗り物やキャラクターたちには一切興味は示さず、一日中同じダンスショーばかり繰り返し見続けるくらいです。
 
 そして海外に行くと、日本では”未就学児お断り”で入れないようなショーもたくさん観ることができます。僕らは海外旅行をすると必ず現地でいくつかの劇場に足を運びます。僕ら父子の大好きな街バンクーバーやメルボルンといった都市では、街と劇場、市民とアーティストの関係が羨ましくなるほど密接で、街歩きと劇場巡りはこの上ない僕らの楽しみ。幼い頃からそんな空気を肌で感じたからでしょうか、息子は根っからのアーティストでありエンターテイナーに育ちつつあります。

 そんな息子ですから、日頃通っている音楽教室とバレエクラスの発表会ともなると、俄然張り切ります。彼にはプレッシャーとか緊張というものが、まるで無いように見えます。発表会が終わるやいなや「次はいつなの?またやりたい!」とまだまだ物足りなそうな発言。しかも会場が大きければ大きいほど満足のようです。僕は自分が子供だった頃のことを思い出し、その違いに驚くばかり。人前に出ることが嫌いだった僕とは、まるで正反対です。そんな性格がコンプレックスだったので、息子が生まれてからというもの、僕は息子といるときは人前に出るように心がけました。イベントやショーでステージに上がって参加する観客を選ぶときには、必ず手を挙げてショーに参加するようにしました。父親として息子に積極性を教えて行こうと考えていたのですが、あっという間に息子は僕の期待以上の積極的な性格になってしまいました(笑)。生まれ持っての素質というのもあるのかもしれませんが、やはり幼い頃からショーをたくさん見せてきたことが現在の息子の性格を形作っているように思えます。

 さて、小さい頃から息子が好きだった映像の中には、”世界の凄い子供たちの映像”というのもあります。ピアノ・バイオリン・歌・ダンス・アクロバットなどなど、さまざまな素晴らしい才能をもった子供たちの映像がYouTube上にはアップロードされています。世界的に有名になった子供の映像などは、びっくりするくらいの再生回数になっていて、その後プロとして活躍している子供たちも世界にはたくさんいます。そんな子供たちの中から、最近の息子のお気に入りであり、ピアノの発表会前には我が家でヘビーローテーションになる映像を紹介しましょう。







Eatan Bortnick(イーサン・ボトニク)君は、2000年のクリスマス・イブ生まれの現在13歳の男の子。ユダヤ系ウクライナ人移民の両親のもとフロリダで育ちました。彼が初めてピアノに興味を持ったのは3歳のとき。それ以来驚異的な才能を発揮して、あっという間に神童として地元では有名になります。6歳の頃にはテレビ番組でも取り上げられ、一躍全米スーパーキッズの仲間入り。しかし、ピアノが上手いだけの子供なら世界中にいくらでもいます。イーサン君の凄いところは、その社交性とエンタメ精神。8歳の頃には彼がホスト役のテレビ音楽番組を持つまでになります。







 カナダのコーラスグループThe Canadian Tenorsと共演し、同じくカナダ出身のアーティストであるレナード・コーエンの名曲『ハレルヤ』を演奏したときの映像です。最初はピアノの腕で周囲を驚かせ有名になったイーサン君でしたが、それ以上に彼はエンターテイナーとしての才能を開花させました。次第にピアノだけでなく歌うことに目覚めていきます。彼のショーでは大人顔負けの司会で、大物ゲストたちと共演。そして自身のバックバンドを引っさげての全米ツアーを開始。ついにはあのラスベガスの大ホールでのコンサートです。







 もはやただの天才”ピアノ少年”ではなく、音楽を愛し、音楽の素晴らしさを伝える”伝導師”のようなイーサン君。彼のユダヤ人としての血とウクライナ移民の子という生い立ちは、なにか現在の世界が抱える大きな問題を体現しているようにも思えます。スターにはバックボーンも重要です。きっと彼は苦悩し葛藤するでしょうが、それを音楽という形で世界へ伝えることでしょう。CDデビューや主演映画の公開なども経て、着々とスターへの階段をのぼっているようです。彼の今後がとても楽しみです。いつか彼のショーを息子と観に行きたいものです。



 さて、おしまいに映像をもう一つ。先程の『ハレルヤ』は世界中で数々のアーティストが取り上げる名曲中の名曲ですが、もしかしたらこのバージョンがベストかもしれません。歌うのはブラジルの10歳の男の子Jotta A君と女の子Michely Manuelyちゃん。驚くべき子供たちです。







 Jotta君のまるで大空高く突き抜けるような高音域の伸びと、Michelyちゃんの大地のようなどっしりとした太い声。これが10歳の子供の歌だとは、とても信じられません。10歳の頃のマイケル・ジャクソンと10歳の頃の美空ひばりが共演していたら、もしかしたらこんな感じになったのかもしれません。現在では二人ともプロ・シンガーとしてブラジルで大活躍しています。

 世界は、広い。



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posted by 岡昌之 at 22:53| Comment(0) | エンタメ・アート・サイエンス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年04月26日

バルセロナの新名物 スウィングする子供たち



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 2012年に公開された映画『KIDS AND MUSIC』は、子供たちによるジャズバンドのドキュメンタリー作品です。(なぜか日本では未公開となっていますが...)スペイン・バルセロナを拠点に活躍する、6歳から18歳までの子供たちからなるSANT ANDREU JAZZ BANDを追いかけたこの映画は、サッカーや建築で有名なバルセロナを一躍音楽の街として世界中に知らしめることとなりました。音楽の勉強と言えば、やはりオーストリアやドイツ、そしてパリ、ロンドンなどが有名です。そしてジャズと言えば、アメリカ・ボストンのバークリーとニューヨークのジュリアードが言わずと知れたジャズ界の双璧。「バルセロナでジャズ?」と誰もが思うでしょうが、それもそのはず。この映画に出てくる子供たちは、有名音楽学校で学んでいるような所謂”音楽エリート”の子供たちではありません。バルセロナ市内に住み、普通に地元の学校へ通う、ごくごくありふれた普通の子供たちなのです。

 

 

<映画公式予告編>



 

 

 そもそもの始まりは、このバンドの監督JOAN CHAMORRO(ジョアン・チャモロ)が、バルセロナにあるEscola Municipal de Música Sant Andreu(サン・アンドレ音楽院)のサックスクラスの先生になったことに始まります。ジョアンはバルセロナ出身のサックス・ベース奏者。マンハッタン・トランスファーやスティービー・ワンダー、Teteなど大物アーティストのツアーにも参加していたほどの実力者。そんな凄腕ミュージシャンであるジョアンは、地元バルセロナの子供たちにジャズの楽しさを伝えようと音楽教師も始めました。このサン・アンドレ音楽院はバルセロナ市のホームページでも紹介されていることから、どうやら市営の音楽学校のようで、子供たちはそれぞれ自分の学校が終わった後にここへやって来て、音楽のレッスンを受けています。海外の学校には日本と違い放課後のクラブ活動があまりありません。日本ではどの学校にもほぼ必ず吹奏楽部がありますが、海外の学校では大きな私立校以外では無いことが一般的。サッカーが得意な子が地元クラブのユースチームで練習するように、音楽が好きな子はこういった音楽学校へ通いながら練習することになります。夕方からは仕事を終えた大人たちもコーラスや楽器を練習しに来るようなので、音楽エリートの養成学校というよりは、バルセロナ市民のためのカルチャースクール的な存在のようです。

 さて、そんなサン・アンドレ音楽院でサックスを教えているうちに、ジョアンは子供たちの音楽の可能性について大きな発見をします。小さい子供たちにたくさん”本物の音楽”に触れさせることで、驚くべき変化があることに気がついたのです。彼はたくさんの古典的ジャズ名盤を子供たちに聴かせ、昔馴染みのジャズミュージシャンをクラスに招き演奏してもらいました。そして子供たちとセッションを繰り返します。そして毎日のように歌い、踊りました。すると、まだ小学校に入ったばかりのような小さな子供たちが、自然とスウィングし始めたのです。そして2006年頃に彼のサックスクラスの子供たちを中心にジャズバンドを結成しました。それがSANT ANDREU JAZZ BANDです。バンドはバルセロナの街中やホテル、ジャズクラブなどで演奏活動を始めます。

 

 



 

 

 欧米の都市には多くの広場があり、休日やお祭りのときには広場や大通りなどで音楽会やダンスパーティーが開催され、地元市民も観光客も入り混じって、それはそれは楽しく美しい光景です。僕ら父子も旅の途中でそんな音楽パーティーによく出くわすのですが、もう自然と体が動いてしまいます。そんなところでSANT ANDREU JAZZ BANDはライブ演奏を重ねました。最初は”子供たちのバンド”ということで注目されましたが、次第にその実力が多くの人々に知れ渡ります。そしてバンドの知名度を一気に広げたのは、サックスとトランペットを吹く二人の同い年の少女でした。

 この二人、楽器だけではなく歌にも才能があったのです。

 

 



 

 

 ちょっと大人の雰囲気を漂わせるEVA FERNANDEZ(エヴァ・フェルナンデス)は、この演奏の時16歳。サックス・クラリネットとボーカル担当。そして次の映像がANDREA MOTIS(アンドレア・モーティス)。トランペット・サックスとボーカルが担当で、この演奏は14歳の時のもの。こちらはあどけない顔がキュートな女の子です。なんとこの映像では歯の矯正機を付けてます。弱冠14歳の少女が、”スペインのルイ・アームストロング”ことRICARD GILIに引けを取らない堂々のスウィング振り。ちなみにウッドベースは12歳、ピアノは16歳の少年です。

 

 



 

 

 この二人の歌姫を中心にバンドは急成長します。そして彼女たちはバンド以外でもさまざまなセッションに参加。バルセロナを訪れた世界的ミュージシャンたちとも共演し、彼らをを驚かせました。バルセロナでのライブは常に大盛況。テレビやネットでも注目されるようになり、CDアルバムも次々と発表。バンドの規模もどんどん大きくなり、ついには市営の小さな音楽学校ではマネジメントできなくなるほどになってしまいます。そこでバンドはサン・アンドレ音楽院から独立。大きな私立音楽学校へ練習拠点を移し、活動の幅を広げました。
 そして、二人の歌姫のうちの一人アンドレア・モーティスの才能が、爆発的に開花します。

 

 



 

 

 ジョアンはアンドレアをフィーチャーしたバンドを組み、スペインやフランスを中心にツアーを始めました。各地で絶賛されたアンドレアは、今や”バルセロナのジャズが上手い女の子”ではなく、YouTubeなどインターネット動画サイトを通じ、ジャズシンガーとして世界的に認知されつつあります。
 アンドレアとエヴァという初期のバンドを支えた二人の歌姫が、ともにハイスクールを卒業し、同じくバンドも”卒業”した現在、新しい歌姫としてMAGALI DATZIRAに白羽の矢が立ちました。マガリはウッドベースを弾いていた少女で、これまでどちらかといえば”地味目”だった女の子です。今までのバンドの映像でも、これといってフィーチャーされたこともありませんでした。ニキビがまだ残る顔立ちと、ぎこちなさ満載の初々しい歌い方です。先輩二人のように、これからどう成長していくのでしょうか。ジョアンという天才マエストロの手に掛かり、またもや大化けするのでしょうか。そんな新しい歌姫をコーラスで支えるのは、アンドレアとエヴァの”元”歌姫たち。まるで新しい歌姫の誕生を祝福しているかのような喜びに満ちたコーラスです。

 

 



 

 


 最後に、アンドレアの最新の映像を。舌っ足らずであどけなさがある中にも妖艶で繊細な歌い方が不思議な魅力を感じさせる素晴らしい作品です。曲はレナード・コーエンの『ハレルヤ』。これまでは地元の学校に通う普通の女の子だったアンドレアですが、いよいよ彼女の歌は、バルセロナから世界へ向けて、大きく羽ばたこうとしています。まだまだ19歳の彼女、本当にこれからが楽しみです。
 
 

 





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posted by 岡昌之 at 02:21| Comment(0) | エンタメ・アート・サイエンス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年05月10日

FROZEN FRACTALS

現在息子たいかんはFROZEN(邦題:アナと雪の女王)に夢中。
彼の学校では昨年末からYouTubeで映像を見てみんなで歌ったりしていますし、四月には二度も映画館へ観に行きました。
日本のみならず、世界中の子供たちの間でのFROZENブームときたら、まるでニ年前の「ガンナム・スタイル」を彷彿させるものがあります。
あのノリノリなイントロが流れだすと、世界中の子供たちが条件反射で歌って踊りだしていましたからね。
あの時のブームと少し違うところは、二年前は親たちがちょっと顔をしかめていたけれど、今年のブームは親たちも公認だというところ。
というより、むしろ大人たちのほうがこの映画にはハマってしまうのではないでしょうか。


さて、我が息子たいかんは、主題歌LET IT GOにも出てくる”FROZEN FLACTALS”に似た模様をどこかで見かけるやいなや、条件反射でFROZENワンマンショーを始めてしまいます。
LET IT GOを歌いながら、結晶のような模様の中央で力強く四股を踏みこむのは、エルサが氷の城を作る時の大広間でのシーンですね。



撮影場所は、ヒルトン小田原リゾート&スパ
実はこのホテル、エルサの氷の城にそっくりな場所があります。




もう完全にエルサになりきっています(笑)
映画前半のクライマックスでもある、手に力をこめて城を地面から持ち上げるシーンの再現です。
ここは四階建ての吹き抜けになっていて、天井はこうなっています。




あとシャンデリアがあったら、FROZENごっこには完璧なセットです。
ブルーの照明でライトアップして「FROZENごっこができるホテル」としてアピールしたら、子供たちに大人気になるかもしれませんね。


父と息子で観たFROZEN映画レビューは、また次回に。



posted by 岡昌之 at 10:11| Comment(0) | エンタメ・アート・サイエンス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年05月13日

父と息子の”アナ雪”な日々


映画鑑賞中に食べ終わったポップコーンのカップをかぶって”ありのままで”を歌いながら映画館を後にする息子。次回上映を待つ人たちから「かわいい!」の嵐。彼ほど”ありのまま”な人はいません。



さて、アナと雪の女王(原題:FROZEN)を父子で観てきました。
もう二度目です。(息子は三度観てます)
劇場内を見渡しても、父と息子の組み合わせは僕ら以外には見当たりません。
やはりお母さんと娘さんの組み合わせが圧倒的で、次に多いのが女性二人組。
男同士のアナ雪は、かなりマイノリティのようです。
でもたぶん、まだまだ観に行くことになるでしょう。
ここ数週間というもの、休日に僕が「さて、今日はどこへ行こうか?」と聞くと、息子は真っ先にこう答えます。

「雪の女王を観に行きたい」

どうやら息子はエルサが大のお気に入り。
FROZENごっこをやるときも、僕がアナ役で息子はもちろんエルサ役。
彼は主要なセリフほとんど暗記しているので、僕はいつも怒られてばかり・・・
はたから見たら、かなりレアというかアレな父子かもしれません。

さてこの映画、ご存知のとおりディズニー史上にも映画史上にも残る大ヒット作となりました。
前評判も凄いものがあったので、僕は期待して劇場に足を運びました。
が、観終ったあとの正直な感想は

「えっ・・・?何これ?」

でした。
ためしに息子に「どこが面白かったの?」と聞いてみたら

「エルサがお城を作るとこ」

まだ4歳の息子には無理もありません。
でも前評判も良く、周りのお客さんも感動しているので、何か僕が肝心なところを見落としていたり勘違いしていたのかと最初は思っていました。
でもやっぱりスッキリしません。

「ありのままに」と歌っていたエルサが”ありのままに”見えなかったから?

どう考えても根っからの好青年としか見えなかったハンス王子の突然の豹変が不自然すぎるから?

そこで、原曲のLET IT GOの歌詞をじっくり読み直して、さらに作曲者と監督のインタビューを読んでみました。
わかったことは、

1、主題歌LET IT GOに秘められた意味

2、もうひとりのモンスター、ハンス王子の秘密


この映画、かなり深い映画です。
子供向けだと思ったら、痛い目にあいます。
この二点を踏まえて二回目を見たときは、FROZENだけに寒気がしました。

まず主題歌ですが、なるほど、日本語版の「ありのままで」とはまったく違う歌詞となっています。
原曲の歌詞は、一言で言えばひたすらに暗く、最後の段階でも悲劇の予感を暗示しています。
歌詞の一番は”解放”、二番は”過信”、そして最後が”未練”。
この英語の歌詞には、この映画の全てが凝縮されています。
というより、実はこの歌があって、それから映画のストーリーが出来たという事実を知りました。
このFROZENという映画、最初は「なぜ少女は悪の世界に身を落とし雪の女王となってしまったのか」というテーマのストーリーだったそうです。
いわば、アンデルセンの「雪の女王」の前日譚、エピソード・ゼロです。
そしてそのストーリーに相応しい曲を、作曲者であるロペス夫妻は依頼されました。
そうして出来上がったのが、LET IT GO。
しかしこの歌のあまりの世界観の深さに製作陣はショックを受け、なんと急遽映画のストーリーをこの歌の歌詞の世界に合わせたものに書き換えたそうです。(でも、変更前のストーリーはディズニー次回作「マレフィセント」に引き継がれたようです。それはそれで楽しみですが))
だからこの歌の歌詞と、それを歌うエルサの仕草や魔法で現れる雪や氷をよく見ていると、この映画の隠されている様々な意味が分かるようになっていました。
いや〜、これは一回観ただけじゃ気が付かないわけです。
特に、かなりの意訳がされている吹き替え版では、なおさらのこと。
ここがFROZENアナ雪のモヤモヤ解決、第一のポイントです。



LET IT GOを僕なりに訳して解釈していきます。
まず歌詞の一番は、寂しい雪山を歩くエルサの心境から始まります。
そして、かつてアナを傷つけた時から両親に言われ続けてきた言葉を語ります。

Don’t let them in,don’t let them see
(決して中に入れてはいけない。誰にも見せてはいけない)
Be the good girl,you always have to be
(いい子でいなさい。いつも必ず)
Conceal, don’t feel,don’t let them know
(身も心も隠しなさい。誰にも知られないように)

恐らくあの日以来エルサにとって両親との間で交わされた会話は、この言葉だけだったのかもしれません。
そして、エルサにとっての13年間の辛い思いが、たった一日で無駄になってしまいました。

Well, now they know (笑っちゃうわね、今じゃみんな知ってるのに)

そして最初のサビの部分。
彼女が背負ってきた全ての苦労、というより人生そのものが一瞬で無になってしまったことで、彼女が今まで気丈に振舞うために張っていた全身の力は抜け、表情が柔らかくなります。
まるで13年前の”あの日”以前に戻ったかのような、とてもリラックスした可愛らしい幼女のような表情や動きをします。
彼女は手のひらから雪を出しますが、その雪は小さな花の形。
そして、かつてアナと二人で作って遊んだ雪だるまオラフを作ります。
この時エルサは自分がしていることに気がついていません。
後に氷の宮殿でオラフと話すシーンで、「君が僕を作ったんだよ」とオラフに言われて、エルサはそれが信じられずに自身の手を見つめます。
この無意識の花の雪とオラフの件から、実は”エルサは自身の能力をコントロールすることができる”ことが示されています。
”できない”と思い込んでいたり、ストレスや恐怖心が心にあると、彼女の能力はコントロールできなくなり、暴走し始めるのでしょう。
だからエルサの作る雪や氷の形や色は、全て彼女の心の状態を表しています。
恐怖心があるときは刺々しい形で、優しいときは丸みを帯びたものになっています。
氷の宮殿の色もエルサの心の状態で色が変わっています。
オラフは登場シーンで「黄色はダメだ。雪と黄色の組み合わせは・・・ ブルブルッ」と言います。
最初は”おしっこ”のことだとばかり思っていました。
でも、エルサの心が強いストレスや恐怖を感じると、氷の宮殿は黄色くなっています。

The cold never bothered me anyway
(もうこの呪われた能力が 私を煩わせることはないの)

あまりにも有名な、キメのセリフです。
しかしここでエルサは重要なことを忘れてしまいます。
過去の抑圧から解放された喜びのあまり、13年前のトロールの忠告を忘れてしまうのです。
この能力は油断すると彼女自身を飲み込んでしまう、ということを。
エルサはこの恐ろしい能力を”自分の力”だと思い始めてしまいます。

二番の歌詞は、これがエスカレートしていく様が表れています。

It’s funny how some distance makes everything seem small
(面白いわね、ちょっと離れただけで全てがちっぽけに見えるなんて)
And the fears that once controlled me can’t get to me at all
(私を支配してた恐怖だって、もう姿も形もない)
It’s time to see what I can do
(私に何ができるか試す時が来たわ)
To test the limits and break through
(限界までやって、そしてそれも超えてみせる)
No right, no wrong,no rules for me
(正しいか間違っているかは関係ない。ルールなんて私には必要ないもの)
I’m free
(私は自由)

”恐れ”から解放されたあまり、完全にエルサは自身の能力への”畏れ”を失ってしまいました。
この時点で彼女の心はダークサイドに落ちつつあります。
エルサの顔つきが変わってくるのもわかります。

そして曲のクライマックス、最後のサビの部分。

Let it go,let it go
(もうどうでもいいじゃない。それでいいのよ)
And I’ll rise like the break of dawn
(私は新しく生まれ変わるんだから)
Let it go,let it go
(そうさせて。そっとしておいて)
That perfect girl is gone
(あの時の少女は、もういないんだから)
Here I stand in the light of day
(ついに私が光を浴びる時が来たの)
Let the storm rage on
(嵐よ 巻上がれ)
The cold never bothered me anyway
(もう何も怖くはない)

サビの前の部分”The past is in the past(過去は過去)”を受けて、この曲のクライマックスが始まります。
二番で開き直ってはみたものの、やはり過去への未練がありありと表れています。
ここで出てくるperfect girlは、もちろん一番で出てくるエルサ自身good girlの言い換えでもあるわけですが、実はここにもう一人の女の子が隠されています。
そう、アナのことです。
エルサは両親にgood girl(いい子)でいるように言われ続けていましたが、決して自分のことをperfect girl(理想の女の子)だとは思ったことはないでしょう。
13年間も自分自身を嫌っていたわけですから。
そんな彼女にとって、唯一理想だったのはもちろんアナ。
13年前にエルサが傷つけてしまい記憶を書き換えてしまうことになる以前のアナ、です。
その頃のアナは、エルサの”ありのまま”を受け入れてくれる唯一の存在でした。
エルサがエルサらしくいられる唯一の存在。
まさにperfect girlです。
13年間エルサの部屋のドアをノックし続けたアナに対し、エルサは身が裂かれる思いで”無視”し続けました。
そして、そんなアナがエルサに語りかけてくれる唯一の存在でした。
エルサにとって13年間ものあいだ、この非情な毎日が繰り返されたのです。
”アナのため、アナのため・・・”とひたすら自身に言い聞かせながら。
現実世界でこんな日々を過ごしたら、まず発狂します。
そうでなくとも、かなり歪んで疲弊した精神と屈折した感情を持つことでしょう。
物語ですからサラッと描かれていますが、エルサのアナへの想いはドロドロとした一筋縄ではいかないシロモノになっているはずです。


さて、この曲LET IT GOと映画FROZENですが、アメリカなど諸外国ではLGBTからの強烈な支持が沸き起こっています。{LGBTとは、女性同性愛者(レズビアン、Lesbian)、男性同性愛者(ゲイ、Gay)、両性愛者(バイセクシュアル、Bisexual)、そして性転換者・異性装同性愛者など(トランスジェンダー、Transgender)の人々を意味する頭字語}
ここで歌われている内容が、セクシャル・マイノリティにとってはカミングアウトする時の想いとあまりにも似ているからだそうです。
彼らは「この歌は私たちのことを歌っている。ディズニーはついに固定観念と決別した!」と大興奮しました。
今までもディズニーは、ディズニーランドなどで結婚式を挙げるカップルに関して”男女”だけにとらわれず、様々なカップルを受け入れてきました。(LGBTに関して疎い日本ですら、東京ディズニーリゾートでは男女以外のカップルも結婚式を挙げることができます)
しかし、本業である映画では、まだまだそこまでは踏み切れずに苦悩してきました。
批判を受け続けながらも、古典的ともいえる”プリンセスとプリンス”という男女の恋愛至上主義の世界観からなかなか抜け出すことができません。
近年の作品ではさまざまな非白人キャラクターを主役にして新たな表現を模索してきましたが、結局のところただ肌の色を塗り替えただけにすぎず、根底のストーリーは”勧善懲悪&ハッピーエンド”そのままです。
でも今回のFROZENでは、明らかに”一線”を超えました。
プリンセスの二人は王子様と結ばれません。
アナが氷卸しのクリストフとキスをするので一見結ばれたように見えますが、そのキスは今までのディズニー作品のキスとは性質が異なり、ハッピーエンドを表す”永遠の誓い”的なものではありません。
最後のお城でスケートをするシーンからもわかるように、アナとクリストフは決してラブラブなわけではなく、まだまだ”距離”があります。
アナが手を取り合う相手は、姉のエルサなのです。
それまで自分のことしか考えていなかったアナが”真実の愛”に気づき、しばらく姉のそばにいようと決意したかのようにも見えます。
エルサの現実世界への”リハビリ期間”を共に過ごす覚悟なのかもしれません。
自分のことは後回しにしてでも。

しかし、このLGBTたちの歓喜に黙っていない人たちもいます。
ディズニーファンのコア層でもある、宗教的保守主義者たちです。
彼らはLGBTに対して「ディズニーはそこまで言っていない。勝手に自分たちの都合で解釈するべきではない」と反論しました。
確かにこの作品の中で、キーワードである”真実の愛”が何であるかは明言されてはいません。
氷かけたアナは”たまたま”誰ともキスをしなかっただけで、男女間の恋愛より姉妹の愛や自己犠牲の愛が上だとは作品中で誰も言ってはいません。
もしもアナが誰かとキスをしたらハートに刺さった氷が溶けたかもしれない、と考えることもできる構成になっています。
”真実の愛”は人それぞれで、その人次第でどのようにも感じることができるわけです。
新しい価値観を望む人たちにも、古典的ハッピーエンドを望む人たちにも、ディズニーはFROZENをどちらの立場にも対応できる作品に仕立てあげました。
見事という他ありません。
今後の作品での価値観の展開と表現方法が楽しみです。



長くなりましたので、もう一つの謎ハンス王子の秘密は次回に、





posted by 岡昌之 at 10:00| Comment(0) | エンタメ・アート・サイエンス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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