2014年05月13日

続・父と息子の”アナ雪”な日々

前回の続きになります。

アナと雪の女王(FROZEN)の重要なもう一つのキー、ハンス王子・・・というより”鏡”について、です。
アンデルセンの原作「雪の女王」では、物語のキーとして”鏡”が使われています。
心に刺さるのは魔法の氷ではなく”鏡のかけら”であり、雪の女王は”鏡”でできた部屋に閉じこもっています。
しかし、ディズニーの雪の女王には”鏡”が出てきません。
意図的と言っていいほど、ひと目でわかる本物の鏡は排除されています。
では、どこに隠されているのでしょうか?
それは、それぞれのキャラクターの中にあります。
これがはっきりわかるシーンが劇中に最初に表れるのは、山男クリストフと相棒のトナカイのスヴェンとの会話。
幼い頃から孤児として山の中で育ったクリストフは、独り言がクセとなってしまっています。
特に自分の本心を言うときは、必ずスヴェンが言ったかのように振る舞い、トナカイのスヴェンを本当の自分の鏡として扱っています。
クリストフは”鏡”を通してしか本心をアナに伝えることしかできませんが、最後にこれを克服する時が来ます。
凍りそうなアナをハンス王子の元に送り届けて山に帰る途中、城に迫る危機を目撃した時に、初めてクリストフは自分の本心をスヴェンに言わせることなく、アナの元へと駆けつけるのです。
しかし、長年のクセはそう簡単に治らず、最後にアナにキスをする時はなんて言っていいかわからずに口ごもってしまうのですが・・・。
このあたりにも、ディズニーはかつてない配慮をしています。
人はゆっくりしか変わらない、ということなのでしょう。

さて、クリストフの鏡がスヴェンならば、他のキャラクターはどうでしょう?
雪の女王となりかけるエルサの鏡は?
エルサの鏡は、雪や氷の形や色、そして雪だるまのオラフです。
オラフはエルサが13年間自分の中に押し込めてきた”満たされた心”を表しています。
オラフは開放的な夏に憧れ、時折エルサが幼い頃にアナと交わした言葉を発します。
エルサが人生の中でもっとも自分らしくあった日々の思い出がオラフに込められ、エルサの抑圧してきた本心はオラフを通じて表されています。
凍りつくアナを自らが溶けかかっても暖炉で温め、こう語りかけます。
「自分を犠牲にしても、助ける価値のある人はいる」
これは13年間エルサが想い続けてきたことに他なりません。
一見美しい言葉ですが、かなり歪んだものでもあります。
この言葉でアナの心が溶けないことを見ても、この気持ちが決して”真実の愛”ではないことがわかります。
でも、このオラフから語られるエルサの気持ちを知ったことで、アナの中で”何か”が変わります。
ようやくエルサのことを理解しようと思い始めます。

では、アナの鏡は?
この物語で本当に苦心して描かれているのは、アナの本心でしょう。
そしてその感情の多くは、ハンス王子という”もう一人のモンスター”を通して表されています。
この映画で呪われた能力を持つ者は、エルサだけではありません。
13番目の王子ことハンス王子は、ある意味エルサよりも悲劇的な人物です。
でも決して彼の属性は”悪”ではありません。
彼の愛馬を見てもそれは明らかで、とても愛嬌のある馬を相棒としていますから、彼の心は邪悪ではないのです。
最後にはアナとエルサを殺そうとし、ハンス王子は一見悪役として振る舞いますが、それは彼の本心ではありません。
彼は運命の人に出会えたと思って有頂天のアナに、さりげなくこう言います。
「僕は12人の兄たちに無視されてきたんだ。その内の二人なんて、僕のこと”見ようとも”しないんだよ」
このセリフにハンス王子の悲しみと恐ろしさが秘められています。
ハンス王子の呪われた能力とは、まるで”鏡”のように他者の心を映してしまうことです。
一般的には”ソシオパシー”と言われるものです。
ソシオパシーな人は一見”普通”の人に見えますが、実は自分というものがありません。
周囲の環境や身近な人の影響を受け、それがその人の人格となって行動してしまうのです。
ハンス王子にも本心というものがありません。
その代わりに、彼は誰かと見つめ合うと、その人の本心を自身にコピーしてしまうのです。
恐らくこのハンスの不思議な能力に気づいてしまった二人の兄は、ハンスのことを見ないようにしているのでしょう。
エルサが城から逃げたあと、アナは自分も一緒に行こうと言うハンスにこう言います。
「私の代わりに城とみんなを頼みます」
言われたハンスは忠実にそう振る舞います。
彼は凍える民衆を立派に助けていました。
しかし、それが崩れかける瞬間があります。
これからやるべきことを貿易相手国のウェーゼルトン公爵と話し合いながら彼の目を見つめてしまう時です。
ウェーゼルトン公爵は、あわよくばエルサの王国であるアレンデールの富を奪おうと考えています。
そんな公爵の目を見ているハンス王子自身の目つきが徐々に悪い目つきに変わっていくのです。
しかし、アナと一緒に山へいったはずの愛馬が一頭だけで城に帰ってきたために、ハッと我に返ります。
彼は山頂でも勇敢に振る舞います。
この危機を”何とかしたい”というアナの心が、まだハンスの心を支配しているからです。
そして雪の城の中でエルサがウェーゼルトン公爵の部下たちを殺してしまいそうな場面でエルサと目が合ったハンスはこう叫びます。
「誰も傷つけてはいけない!モンスターになってはだめだ!」
この言葉は自身の魔力をコントロールすることができずに、恐怖で怯えるエルサの本心でしょう。

牢で鎖につながれたエルサと話すシーンでもわかるように、城に戻ってからもハンスはどうにかして事態を解決しようと苦悩していました。
しかし、そこにアナが帰ってきます。
そしてアナはハンスを見つめ、キスを求めます。
この瞬間、初めてハンス王子は豹変します。
アナの心を写し取ってしまったからです。
邪悪な心を持っていたのはハンスではなく、アナでした。
この時アナはエルサに裏切られたと感じていました。
エルサのせいで自分は普通に幸せになれず、さらにはエルサのせいで自分が死んでしまうとか考えていたからです。
自分一人が助かればいい、エルサもこのままいなくなってしまえばいい・・・という邪悪な心にアナは支配されていました。
そんな思いをハンスは非情にも写し取ってしまったのです。
そして凍った海の上でのエルサとの対面シーンでは、アナの死を聞かされたエルサの心を映してしまいます。
「私は呪われた存在だ。もう死んでしまいたい・・・」という悲痛な思いを。
ハンスはエルサの盾となったアナに吹き飛ばされ、気を失ってしまいます。
そしてアレンデールに夏が帰って来てから、彼は意識を取り戻します。
その時のハンスは、また本心のない”空っぽ”な人物に戻っています。
「凍っているのは、あんたの心よ!」とアナに言われ殴り倒されてしまいますが、誰もハンスの本性に気づいていないので仕方がないことなのでしょう。
まあ本来なら死刑になってもおかしくないわけですから、殴られただけで済んだだけ良かったかもしれません。
でも、そのおかげで悲劇はまだまだ続くことになります。
ハンスが送り返されて来たら、故郷の南諸島の国は、特に彼を避けてきた兄たちはまた困惑することでしょう。

この不遇な王子ハンスは、おそらくドイツ民謡に出てくる「幼いハンス」をベースにしているかもしれません。
日本では「ちょうちょ ちょうちょ 菜の葉にとまれ」で親しまれているメロディの原曲です。
原曲では、ハンス少年は幼くして旅にでることになります。
兄弟たちは別れをまったく悲しみませんが、母親だけは泣いて別れを悲しみます。
そして6年後、ハンスは帰ってきます。
兄弟たちは、それがハンスだとは気が付きません。
しかし唯一母親だけが「かわいいハンスや よく帰ってきてくれた」と言って泣き喜びます。
この素朴な民謡は、少年の旅と成長を歌っている一方で、母親の盲目的な溺愛ぶりも描かれています。
何かハンス王子とその境遇にも重なるようなイメージがあります。
このハンス王子というキャラクターが持つ悲劇性と不気味な能力について、ぜひディズニーには新しい物語を用意してほしいものです。
でなければ、ハンス王子があまりにもかわいそうな気がします。
彼は気丈にアレンデールを守り、勇敢に雪の化物と戦い、一度はエルサの命まで救ったわけですから。






posted by 岡昌之 at 12:42| Comment(0) | エンタメ・アート・サイエンス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年05月15日

ちきゅう を かこう

先日のアース・デイに、息子たいかんはスクールで地球を描いたそうだ。
昨日クラスルームに行った際に展示されていたので、息子の絵を探してみた。







色とりどりの地球の中に、なにやら異色の地球が…







ひとり地球の内部構造を描いた息子…

マニアック…

さすが、科博の常連だけありますね。

父として、嬉しい限りです。


posted by 岡昌之 at 19:27| Comment(0) | エンタメ・アート・サイエンス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年05月23日

たいかんしき




アナと雪の女王(FROZEN)を映画館で一緒に観ているとき、ポップコーンを頬張りながら息子たいかんと僕はこんな会話を交わした。

たいかん「ねえパパ、”たいかんしき”って何?」

僕「王様や女王様になるためセレモニーだよ」

たいかん「セレモニーってなに?」

僕「ん〜、パーティーみたいなものかな」

すると息子はあきらかに興奮した面持ちでこう言った。

「じゃあ、”たいかん”っていう名前は、王様とか女王様っていう意味で、”たいかんしき”っていうのは”たいかん”のためのパーティーってことなんだ!」

ポップコーンの食べカスが僕の顔左側面に飛び散っている。
これ以上大きな声を上映中に出されては困るので(ここは日本だ!)、僕は「そう、そう」と言って流しておいた。


さて、息子は家でも毎日のように”たいかんしき”を行う。
招かれる客は僕で、ダンスを躍る相手も僕。
時折たいかんトレーニングも交え、ハードで慌ただしいパーティー。
40過ぎのオヤジには正直堪える内容だ。
しかし、少しでも手を抜くと王様のお叱りを受けることになるので、まったく息もつけない。

そして王様曰く、いよいよ明日24日は練習の成果を見せる”本番”なのだそうだ。
どんなプリンセスと華麗なダンスを踊ることになるのか、楽しみにしていよう。

さあ、明日は六本木ヒルズで”たいかんしき”だ!
まだまだプリンセス募集中!








posted by 岡昌之 at 12:07| Comment(0) | エンタメ・アート・サイエンス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年05月28日

これを聞いたらじっとしていられなくなる!? 旅に出たくなる歌@

歌は世に連れ 世は歌に連れ

行きかふ年も また旅人なり

白頭掻けば 更に短く

諸行無常の 響あり





旅に音楽は付き物。

旅先に連れてゆく歌、旅先で出会う歌、そして旅先で生まれる歌・・・

だけど、私たちを旅へと誘うのもまた、音楽かもしれない。

こんな音楽が耳から離れなくなってきたら、

それはもう旅に出る潮時。






さて、人気デュオCapital Cities(キャピタル・シティーズ)の曲「One Minute More」です。

軽快なリズムと一緒にこの絵を見ていると、もう何処かへ行きたくてウズウズしてきますね。

海でも山でも宇宙でも、どこでもいいから旅に出て、腹の底から笑って、叫びたくなってきます。

歌詞を僕なりに訳してみました。


Don't wait for an invitation
招待状なんて待ってちゃだめだ
No need for reservation
いちいち計画なんて立ててちゃだめだよ
This life is an exploration
いろんなものを見つけに行こう
And you gotta see what I see in you
君の中で眠っている世界に気付かなくちゃ

I can't wait one minute more
もう1分も待てやしない
The sun does shine
太陽は輝いているんだ!


Just think of the destination
行き先だけを考えよう
I'll be your transportation
僕が連れてってあげるから
We'll find there's a kind of place
僕らの行き先はきっとこんなところ
That can only be seen with a naked mind
まっさらな心でしか見えない秘密の場所

There's a key that opens a door
ドアを開ける鍵があるんだ
Will you find it and turn it?
見つけて使ってみない?
Take your time, don't take too long
焦らなくてもいいけど ゆっくり過ぎてもだめ
There's a map that's washed ashore
浜辺に打ち上げられていた地図があるんだ
Will you find it and burn it?
見つけて、それROMに焼いといてくれる?

Unleash your imagination
想像力を解き放て
Two stars, one constellation
二つの星が 一つの星座になる
Bright lights just to guide the way
眩い星の光は 僕らの旅路を照らす 
Can you see what I see in you?
僕が君の中に見ているものに 気づくかな?

c capital cities


ちょっぴりウブなラブロマンスを旅に見立てて、シンプルに歌いあげた名曲。

渋谷系全盛時代、往年のオザケンばりの、ポップでストレートで悪戯心も隠された旅系ラブソングでした。



これテレビでYoutube見るのに便利です!

タグ:音楽
posted by 岡昌之 at 12:15| Comment(0) | エンタメ・アート・サイエンス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年06月06日

ビバ!ブラジル!!


この季節になると、ブラジルが恋しくなる。

もちろん行ったことは、ない。

でも、我が家では6月といえば、サンバ。

始まりは2012年の息子の誕生日の夜だった。

渋谷のブラジル料理店TUCANO'Sで美味しいシュラスコを食べながら息子の誕生日を祝った我が家。





前もって誕生日だと言ってあったので、息子たいかんは突然現れたサンバダンサーに抱きかかえられステージへ。





ポルトガル語によるハッピーバースデーの歌でケーキのロウソクを吹く息子。

満席の店内のお客さんたちも、カーニバルばりに大盛り上りでした。


そして2013年。

「今年は誕生日に何が欲しい?」

と聞くと、間髪いれずに


「サンバダンサー!」


・・・というわけで、息子の友だちを招いての誕生会に、サンバダンサーがやって来ました。




登場した瞬間、子供たちの目が点になっていたのが印象的でした。

息子はひとり大はしゃぎでしたが・・・





今年はきっとワールドカップ真っ最中でお店もサンバダンサーも忙しいでしょうから、ブラジルは封印です。

ちなみに今回は、純和風で攻めます。

8月からインドネシア・バリ島生活なので、日本としばらくお別れですから・・・




posted by 岡昌之 at 19:12| Comment(0) | エンタメ・アート・サイエンス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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